生きるよろこび
まことに、芸術っていったい何なのだろう。
素朴な疑問ですが、それはまた、本質をついた問題でもあるのです。
芸術は、ちょうど毎日の食べものと同じように、人間の生命にとって欠くことのできない、
絶対的な必要物、むしろ生きることそのものだと思います。
しかし、何かそうでないように扱われている。そこに現代的な錯誤、ゆがみがあり、
またそこから今日 の生活の空しさ、そしてそれをまた反映した今日の芸術の空虚も出てくるのです。
すべての人が現在、瞬間瞬間の生きがい、自信を持たなければいけない、
その喜びが芸術であり、表現されたものが芸術作品なのです。
そういう観点から、現代の状況、また芸術の役割を見かえしてみましょう。
「今日の芸術―時代を創造するものは誰か」
著者:岡本太郎 出版社:光文社から引用。